日本で最も美しい村の一つ、四国徳島の上勝町。名前を聞いてどこにあるか思い当たる人は非常に少ないと思います。県庁所在地の徳島市内からは車で約40分、本当に山深い町です。人口は1600人、年々高齢化率も上がる日本で典型的な過疎の町です。そんな町が一躍有名になったのは「葉っぱビジネス」です。この地域は柑橘類を中心にした農業の町でした。しかし1981年に局地的な異常寒波がこの町を襲い、ほとんどのみかんが枯死、地域経済は大打撃を受けました。その苦境を救ったのが、当時地元農協職員たっだ横石知二さん(現株式会社いろどり代表取締役社長)が地元のお年寄りたちと始めた”つまもの”ビジネスだったのです、

横石社長と筆者(いろどり本社にて)

1986年に始まった”葉っぱビジネス”、今では157名の農家が参加し年収2億6千万円を上げる大サクセスストーリーとなっています、横石社長とお話をして、その成功のきっかけはタブレット端末を活用したコミュニティの形成、維持だと思いました。

タブレット端末を操作する横石社長

この端末で”葉っぱ”の受発注を行うだけでなく、横石社長自らが様々な情報発信に努め、農家のみなさんのモチベーションを高めているのです。”葉っぱ”という誰もが価値を見出さなかったもので町を豊かにする、まさに”もったいない”の精神を具現化したものです。

町の中心にある”いろどり橋”付近には商品となる”葉っぱ”が植樹されています。ここにくればどんな葉っぱが町を潤してくれているのか肌で感じることができます。

町にはもう一つの「もったいない」があります。それは”ZERO WASTE”、すなわちゴミをゼロにするという挑戦的な取り組みです。現時点で徹底的なごみの分別回収により8割のゴミが再利用されています。町ではこれを2020年までに10割にする目的を掲げており、そのための中心となる新ごみステーションを建設中で今年中にはオープン予定です。この施設ではごみの分別処理、再利用だけでなく、研修や宿泊もできるそうです。完成の暁には国内外から多くの人々が訪れることでしょう。

物見遊山の観光もいいけど、たまにはこれけら世界の潮流としなくてはいけない「もったいない」を体感する旅も良いと思いますよ。この日も同志社大学の学生さん達が団体で訪れていました。